
この本はまずタイトル「行人」が気になりました。
広辞苑で
行人とは、道を歩いている人、旅人、使いなどとあります。
http://www.shinchosha.co.jp/book/101012/
本書はもともと新聞連載で、
一日ごとに文章が区切られてています。
大きな区切りとしては
「友達」「兄」「帰ってから」「塵労」と4つにわかれています。
主人公は長野二郎ですが、「友達」以後は、
二郎の兄、一郎の苦悩が小説の主題となっています。
まず「友達」では二郎の関西旅行から始まり、
まだ兄は出てきません。
「兄」からいよいよ一郎が登場です。
「兄」「帰ってから」では
一郎の変わった性格に家族や二郎が煩わされている様子が
描かれています。
最後の「塵労」では一郎が友人と旅に出て、
その友人が見聞きした一郎の苦悩を手紙でしたためています。
そこで二郎はようやく
一郎の苦悩を理解するのです。
思想家の苦悩を描いていますが、
これは著者自らの苦悩でもあるのでしょう。
タイトルは
小説の中の旅をいうのか、それとも苦悩の人生を見立てているのか、
さて?
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